「サラの鍵」 

映画「サラの鍵」
 フランスにおけるユダヤ人迫害。第二次世界大戦時に親ナチス政権のもと、フランス国内のユダヤ人が一箇所に集められ、ひどい待遇を受ける。そして収容所へ移動。パリで両親と弟と4人で住んでいる小学生のサラ。彼女は自分が連行される時、弟を納戸に隠す。収容所に移動してからもサラは、隠した弟のことが気になって仕方ない。………サラは収容所を脱走する。そしてある農家に匿われる。サラに同情した農家の彼らは一緒にパリへ行く。そして住んでいたアパートに弟を迎えに行く。しかし弟は納戸の中で……。
 時は流れ、現在。サラと家族が住んでいたアパートに住むことになったジュリア。ジャーナリズムに身を置くジュリアは、フランスにおけるユダヤ人迫害を調べていくうちに自分の住んでいるアパートがユダヤ人のものだったことを知る。
 映画では、登場人物の誰にも思い入れをしない。肩を持たない。加担しない。あくまでも客観的に。これは、ブレヒトのいう“異化効果”のいい例に違いない。
 現代の登場人物である、ジュリアを、クリスティン・スコット・トーマスがとても抑制された演技で見事に演じている。
 本作は、同名の立派な原作がある。いつか読んでみたい。

サラの鍵 [DVD]

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サラの鍵 (新潮クレスト・ブックス)

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