2011-01-01から1年間の記事一覧

『演劇入門』(平田オリザ)

第24回 平田オリザが求めるもの 鳩山・菅両総理の内閣参与だった脚本家で演出家の平田オリザさん。彼は戯曲を書くときのコツを一般の人に伝授した。 『演劇入門』(平田オリザ 著)(講談社)(講談社現代新書)(1998) そもそも脚本家が自分のノウハウをべ…

『シェイクスピアのたくらみ』(喜志哲雄)

第23回 シェイクスピアのたくらみ 興味深いシェイクスピア論を展開している本に出会った。とてもおもしろいのだ。 『シェイクスピアのたくらみ』(喜志哲雄 著)(岩波書店)(岩波新書)(2008) シェイクスピアは、観客の反応を計算して脚本を書いた、とい…

『女の一生 −杉村春子の生涯−』(新藤兼人)

第22回 大女優 杉村春子 杉村春子は大女優である。杉村を少しでも知っていれば、大人も子供も男女を問わず、即座に大女優であると誰もが認める。その芝居を観れば、好きとか嫌いとか、そういう感情を抜きにして、芝居のうまさに惚れ惚れと見入ってしまう。素…

『トゥルー・グリット』(チャールズ・ポーティス) 

第21回 一味違う西部劇−True Grit− 読者諸氏諸兄は、西部劇はお好きだろうか。おそらく男の子なら誰しも西部劇を観て、そこに登場する人物に感情を移入してしまったことであろう、と思う。出てくるカウボーイたちは誰もがテンガロンハットをかぶり、腰に拳銃…

『オセロー』(シェイクスピア)

第20回 嫉妬という怪物&キリスト教の勝利−オセローを読む− シェイクスピアの四大悲劇の一角を占める『オセロー』という作品は、その完成度においておそらくシェイクスピアの作品の中でも一、二を争うものであろう。読めば読むほど、芝居を観れば観るほど味…

『二流小説家』(デイヴィット・ゴードン)

第19回 The Serialist 小欄は映画・演劇関係の著作物を扱っているが、たまには道草をして寄り道をして箸休めをしてみようと思う。愚生もたまにはミステリ小説なぞも読むのだ。 『二流小説家』(デイヴィット・ゴードン 著)(青木千鶴 訳)(早…

『團十郎の歌舞伎案内』(市川團十郎)

第18回 團十郎の歌舞伎案内 現役の團十郎、十二代目市川團十郎が、2007年(平成19年)9月、青山学院大学において客員教授として「歌舞伎の伝統と美学」というテーマで集中講義をした。その時の講義を一冊の本にまとめたものがある。今月はそれを読んでみたい…

『江戸っ子の倅』(池部 良)

第17回 ヴェテラン俳優の軽妙洒脱 先月号では、昨年暮に逝った高峰秀子さんの著作(『わたしの渡世日記』)を紹介したが、今月号も同じく昨年亡くなられた役者、往年の大俳優池部良さんの著作を読んでみたい。 池部良さんは昨年の10月8日に92歳で他界された…

『わたしの渡世日記』(高峰秀子)

第16回 大女優の半生記 毎日みなさんはどうお過ごしなのだろうか。 阪神淡路大震災もオーム真理教のサリン事件も9.11同時多発テロの時も大きなショックを受けたものの自分の中では時間は淡々と進み、取り立てて日常の行動に変化はなかった。しかし今回はもう…

『演出家の仕事』(栗山民也)

歌舞伎には、演出家という立場のスタッフは存在しない。存在したとしてもそれは新作歌舞伎の場合であって、古典とされるような舞台にはいない。型とせりふと衣装とがきっちり決まっているものに対して演出家は必要ないわけだ。「勧進帳」はあの芝居だからみ…

『リア王』(シェイクスピア)

第14回 黒澤明生誕100年記念(そろそろ・・・?編)−映画の原作にあたる(その7)− 寒い日が続きます。外は寒いので家の中で読書に明け暮れる日々です。冬は読書の季節ですね。 さて、今月も小欄は先月に引き続き「沙翁」=「シェイクスピア」でいきます。 ・・・…

『マクベス』(シェイクスピア)

第13回 黒澤明生誕100年記念(年が明けてもまだまだ続くよ編) −映画の原作にあたる(その6)− あけましておめでとうございます。 さて、小欄も2年目に突入しました。そして、“黒澤明生誕100年記念”は9回目を迎えます。年が明けてもまだ続けることをどう…