新型コロナウィルス感染症禍

新型コロナウィルス感染症禍の中で抜けるような青空 新型コロナウィルス感染症禍。この「災厄」。 昨日の世界と明日の世界。ついこの間のあのころが過去。ウィルス蔓延禍の今。そして、ウィルス蔓延が収束した未来。昨日と今日と明日。過去と現在と未来。 2…

 『のこった −もう、相撲ファンを引退しない−』

角界が喧しい。 問題点としては2点ある。 ひとつは、土俵上の取り組みに対する批評ではなく、大相撲を主催している公益財団法人日本相撲協会に対しての批判や意見である。それらが世間に入り乱れている。その運営方法や管理能力に対して、さまざまな人たち…

 『何が映画か −「七人の侍」と「まあだだよ」をめぐって−』

黒澤明監督の遺作となった『まあだだよ』は、1993(平成5年)4月の公開されている。この後黒澤は、『海は見ていた』のシナリオを書き、1995年(平成7年)に『雨あがる』のシナリオを書いている時、怪我を負い、そのまま床に伏す生活となり199…

 『御巣鷹山と生きる −日航機墜落事故遺族の25年−』

1985年(昭和60年)8月12日午後6時54分。羽田発伊丹行の日航123便の機影はレーダーから消えた。日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故である。520人が事故に巻き込まれ、命を落とした。このときから残された家族の戦いと慰霊が始まる。事故の遺…

 『帝都防衛 −戦争・災害・テロ−』

阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)の惨状をみて、70数年前の空襲などの戦災をイメージした人は多いと思う。すべてが焼き払われている(あるいは流されている)様子は、戦争を体験していない人々でも写真を比較してほとんど同じ…

 『帝都防衛 −戦争・災害・テロ−』

阪神・淡路大震災(1995年)や東日本大震災(2011年)の惨状をみて、70数年前の空襲などの戦災をイメージした人は多いと思う。すべてが焼き払われている(あるいは流されている)様子は、戦争を体験していない人々でも写真を比較してほとんど同じ…

 『知らなかった、ぼくらの戦争』

戦後72年。戦争を経験した人々はどんどん減っている。直接の語り部が消滅しかけている。それならば、今後は若い人がその代わりを務めなければならない。戦争体験者から直接聞くことは不可能でも、それを直接聞いた人から話を聞くことは今後も可能だ。むろん…

 「ルードヴィッヒ(Ludwig)」

「ルードヴィッヒ(Ludwig)」(1972)ルキノ・ヴィスコンティ237分。4時間の長尺映画であるが、当初からこの長さではなかったようだ。 ヴィスコンティが完成させたとき、配給会社から長過ぎる、とクレームが付き、 ヴィスコンティは泣く泣く184分(3…

 『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』

以前に『それでも、日本は「戦争」を選んだ』という本を紹介した。この本は2009年の出版だった。本欄に執筆子が紹介したのは、かなり遅くおそらく2012年か2013年ごろだろうと思う。その本の続編が昨年出版された。『戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗』…

 『夢遊病者たち −第一次世界大戦はいかにして始まったか−』(2巻)

先月に引き続き、『夢遊病者たち −第一次世界大戦はいかにして始まったか−』の下巻(2巻)を読む。2巻には事項索引と人名索引がついているから少しは読みやすかった。 下巻は戦前のそれぞれ列強の動きを解説し、サライエヴォでのオーストリア皇太子夫妻の…

 『夢遊病者たち −第一次世界大戦はいかにして始まったか−』(1巻)

たいへんな本を手にとってしまった。全2巻(844ページ)の大著である。しかも翻訳本。そして発行元は学術書を出版しているあの、みすず書房。とくれば、どれだけ硬い本なのだ、と想像がつく。タイトルをみて、ふらふらとこの本に近寄ってしまった、執筆…

 『明治のサムライ −「武士道」新渡戸稲造、軍部と戦う−』

新渡戸稲造、という人に興味があった。樋口一葉の前の5,000円札の人である。 昭和59年から平成16年まで流通していた。そもそもこのときに新渡戸稲造って誰だか知らなかったし、『武士道』の作者だった、とか、国際連盟の事務局次長だったとか、経歴について…

 『生き残る判断 生き残れない行動−大災害・テロの生存者たちの証言で判明』

今月はサバイバルの本。生存していくための手引書を紹介する。 大地震、大津波、大噴火。それから大事故やテロリズム。その場に居合わせた人々は、否応なく巻き込まれ、死んでしまうか、はたまた幸運にも生き残れるか。死と生存の差はなんなのか。死者と生存…

 『人が死なない防災』

今月も防災本を紹介したい。 群馬大学の片田教授は災害社会工学が専門であるが、自然災害大国である日本においては、避難の専門家ということになっている。 片田先生の書籍は2015年の12月に一冊紹介している。 『子どもたちに「生き抜く力を」 釜石の…

 『震度7の生存確率』

日本は自然災害の多い国である。地震、台風、豪雪・・・。世界で起きているマグニチュード6以上の地震の約20%が日本で発生している、という。我々は地震多発地域で生活している、ということを自覚して、地震に向き合わなければならない運命にある。だか…

 『沈 黙』

先月は上智大学の先生でイエズス会の神父でもあるピーター・ミルワード先生の本を紹介した。今月もイエズス会に関係のある本を紹介したいと思う。イエズス会宣教師の話。でもそれは小説なので、フィクション。しかしいたる処に史実どおりのこともちりばめて…

 『ミルワード先生のシェイクスピア講義』

上智大学の先生でイエズス会の神父でもあるピーター・ミルワード先生の授業がそのまま本になったような書物が出版された。 第一部がピーター・ミルワード先生の講義録で、第二部が教え子であり訳者でもある橋本修一先生のシェイクスピア入門編とも云える教養…

 『シェイクスピア −人生劇場の達人−』

現在、新国立劇場では12月22日まで、シェイクスピアの『ヘンリー四世』が上演されている。 『ヘンリー四世』は1部と2部に分かれていて、長尺だからなかなか上演機会がない。また登場人物が多岐にわたっているので、役者を揃えなければならないし、主役…

 『シェイクスピア −人生劇場の達人−』

河合祥一郎はシェイクスピアを研究している大学の先生だ。彼はわかりやすい言葉で次々とシェイクスピアの入門書を書き発行しているが、今回俎上に乗せる本は、まったくシェイクスピアを知らない人向け、というものではなく、少なくともシェイクスピアの四大…

 『男ありて 志村喬の世界』

澤地久枝が名優、志村喬を描いている本を見つけた。新刊はもうないと思う。古本屋で見つけた。しかも著者サイン本。 志村喬。1905年(明治38年)生まれ。1982年(昭和57年)逝去。戦前から活躍する昭和を代表する名優である。 志村喬の役者人生…

 『黒澤明と三船敏郎』

久しぶりに黒澤明と三船敏郎の関連本を手に取る。ふたりの巨人の人生が一冊の本にまとめられた。ある意味とても贅沢な本である。著者は外国人。2001年に原典が上梓され、昨年その日本語訳が出版された。この日本語訳は索引を含めると700ページを越え…

 『震災編集者―東北の小さな出版社〈荒蝦夷〉の5年間』

5年前の東日本大震災の後、被災者の様子を記録した書籍は夥しい数の点数が発刊されている。震災直後、数カ月後、1年後、・・・そして5年後。あらゆる時期を舞台にしてさまざまな被災者を観察した書籍の一群が存在している。そしてたいがいの場合、それら…

 『「憲法改正」の真実』

本稿が読者諸氏諸兄のもとに届く頃には参議院選挙の結果がはっきりしており、今後の政治日程がある程度みえてきているのだろう。果たして憲法改正の動議を出せる勢力は誕生したのだろうか? 現在の政権がどうしてあれほど高支持率を維持していられるのか?・…

 『やがて海へと届く』

東日本大震災から5年が過ぎている。死者を弔う方法がわからない。 無残にも残酷にも途中ですっぱりと断ち切られた人生。運命とはいえ、これほど悔しくて悲しいことはあるまい。彼らの魂はどこにいくのだろうか。死んでしまった者の無念。生き残った者の後悔…

 『献灯使』

東日本大震災から5年が過ぎた。震災直後からさまざまな形で表現者たちはこの震災をテーマに作品を発表している。当初の作品は表現の差こそあれ、死者の鎮魂とこれからの望みを描いているように思う。そして5年が経ったいま、何も変わらないことへの絶望、…

 『精霊の守り人』

20世紀では映像にとてもできない。無理だろう、と云われていた作品が続々と映画化、テレビ化されている。「指輪物語」しかり「ナルニア」しかり。 そして今、日本のファンタジー小説の最高傑作と云ってもいい、上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズがついに…

 『書く女』

現在流通している5,000円札に描かれている人物は、樋口一葉である。本名、樋口夏子。戸籍名は、樋口奈津。人呼んで“なっちゃん”。またの名を「ひぐちなつこ」を縮めて“ひなっちゃん”。明治時代の女流小説家。そして夭折した天才。貧困の中で今も読み継…

 『わたしを離さないで』

「臓器提供」を考えるとき、人間の持つ臓器の中で肺と腎臓はふたつあるから、生きている人からどちらか一方の提供は可能であり、以前から行われていた。そしてもっと身近なところでは骨髄の提供は幅広く行われている。しかし、それ以外の臓器は脳死の判定を…

 『映画で日本を考える』

映画からその当時の世の中の雰囲気やその時代の考え方を探る、ということは映画ファンならば、大なり小なり自分でやっていることだろうと思う。とはいうものの、たった一本の映画から、その映画が製作されたときの時代を検証することはなかなか難しいし、危…

 『子どもたちに「生き抜く力を」 釜石の事例に学ぶ津波防災教室』

先の東日本大震災では、東北地方太平洋岸は軒並み津波の被害に遭い、多くの人命が失われた。世代でみると最も被害の割合が大きかったのは高齢者であるが、一方で地震の発生と津波の到来が下校時刻と重なった小中学生にも甚大な被害を受けている。どこの市町…