恩師に連絡。そして指名を受諾・・・。

 中学時の恩師に連絡。その恩師はそれがしが在学時に担任だった人であり、その後この中学校の校長を勤めて定年になった人である。
 まっさきに思い浮かべた人は、この人なのである。
 先生は反対した。それがしには持病がある。先生はそれを心配された。会長になると夜の付き合いが多くなる、という。いわゆる寄り合いである。会長は外との付き合い。これに尽きるのだそうだ。連合PTA(区立中学PTAの連合体)と地区のPTA(区の中で近隣中学PTAの集まり)と単独のPTA(自分の学校のPTA)。その3つにそれぞれ集まりがある。それ以外にも自治会など近隣とのお付き合いがある。たいへんだぞ。大丈夫か。と云われた。
 先生は、そう云う。でもやはり、誰かがそれがしを推薦して、誰かがそれに賛成した。
 乞われたからにはやらずばなるまい。
 そんなに歯を食いしばって云わなくても、要は“頼まれたら断れない、いい人”というわけさ。
 夜、推薦委員会の代表の方から連絡があった。
 結論を云えば、この最初の電話で会長職を承諾した。
 推薦委員長としてみれば、おとといの現会長の根回し電話が功を奏したわけだ。
 一般的には、現会長が時期会長候補に連絡することはない。PTAの組織にはいろいろな決まりごとがある。その中でも会長を含めた役員の選考については、最も神経を使っているように感じられる。それはすなわち、仲良しクラブにならないように、一部の集団の中で役員のたらい回しにならないように、役員が私物化されないように、という配慮なのだろう。端的な例を云えば、役員は自薦が認められない。立候補はできない。これすなわち、客観性の発露には違いない。立候補を禁止するのはPTA役員を足がかりにする人がいるからだろう。役員の選考過程は左様に公平性と客観性が重んじられている。そのために、PTA役員の組織とは別に「役員選考委員会」が組織化されているのだ。前年の秋に次年度候補として相応しい人はいますか?というアンケートを配付する。回収されたアンケートの中に名前が挙がっていれば、その人は候補になる。そしてそこからつらく楽しくない選考と連絡と勧誘が始まるのだ。選考委員のメンバーは本当にご苦労さまなのである。
 電話にて承諾した後、在校している子供の名前とクラス。それにメールアドレスを教えてくれ。と後からショートメールが来た。
 こうして、それがしは、いよいよ大きな大きな渦の中に飛び込んでいったのである。
 人前に立つのは、大嫌いでもないが、なるべく避けてきた我が人生。これからは、そうは云ってられない。