シェイクスピア・アラカルト 1

【「健全育成講演会」にシェイクスピアの芝居を演りたい!】

わが中学校では、毎年秋にPTAの主催で講演会を行っている。昨年は、被災地の東松島市から区長さん(東京では町会長に当たる人)を学校にお呼びした。他に区役所の防災部長と被災地支援ボランティア調整センターの事務局長も来てくれて、パネルディスカッションのようなことをした。

さて、今年もそろそろ何をするか考えないといけない時期になった。
今年は11/29(金)の午後(5・6時間目)が割り当てられた時間になっている。

PTA会長であるやつがれの強い意見によって、演劇を上演することになった。
とても嬉しいことだが、それなりの責任も伴うことなので、緊張もする。

まずは、役者に声をかけることから始めなくては。

シェイクスピア芝居の役者で旧知の仲である、彩乃木崇之氏に声をかけた。
彼はASCという演劇集団を率いている。
以下、やつがれの依頼メール。

代表。
おはようございます。

暑いですね。酷暑が続いております。
さて、うちの中学校で「健全育成講演会」というPTA主催の催しがあります。
今年は11/29(金)午後です。
大田区立東調布中学校です。
ASCでシェイクスピアをやっていただけませんか?
昨年の一橋大学でのアラカルトが印象に残っています。中学生に演劇の真骨頂を見せていただけたらと思います。
如何でしょうか?
PTA役員会と学校の承認を得ることができました。
正式な出演依頼です。
詳細は追ってご連絡します。
よろしくお願いします。

……………

団体名は「Academic Shakespeare Company」の頭文字を取っている。そのことからでもわかる通り、シェイクスピア専門の演劇集団なのだ。
劇団のホームページは以下のとおり。
  ↓   ↓   ↓
http://homepage2.nifty.com/asc_web/

シェイクスピアの37の戯曲の中から何作品かを選び出してその名場面をテンポよく演じてもらう。
昨年の11月に一橋大学でこの“シェイクスピア・アラカルト”を初上演した。その公演をやつがれも観たのだが、とても楽しい公演だった。この時、学生たちはみんな喰い入るように観ているのだ。やつがれとしてはちょっと驚いたのであった。ひとつの戯曲を通しで最初から最後まで演じ抜くのではなく、名場面やクライマックスシーンだけ上演なので、あらすじを知らない人に理解されるのか、という不安は持っていた。しかし蓋を開けてみたら、それはまったくの杞憂。
しかしながら、それは観客は一橋大学の学生。しかも演劇行動学(…こんな題名の講座だと思ったけど間違っている気がする)という講座を取っている学生たちだから、当たり前のこと。という気もする。
今回、やつがれが依頼したのは、中学生が観衆になる演劇であり、それもセリフ劇のシェイクスピア。しかもアラカルト。大丈夫か。中学生が集中力持つのか、という疑問が湧いてくる。

しかし、しかし、彩乃木氏ならできるだろう、なんとかしてしまうだろう、という盤石の信頼感をやつがれは彼に持っている。
彼なら大丈夫。
……………
そういうことをお願いしたが、
こちらは、彩乃木崇之氏がこの話を断る、とは、天から思っていない。