「浅草版・くるみ割り人形」(Project Nyx)

 「浅草版・くるみ割り人形」 Project Nyx 第8回公演(於 吉祥寺シアター 19:00〜)
 日野聡子さん出演。
 寺山修司さんの世界を上手にアレンジできていたのだろうか。観た限りでは、よくわからなかった。ひとつにはしもネタが多すぎる。生殖器の連呼はいけない。芝居の品格が失われる。それでも女性のにおいをプンプン感じたお芝居で、わくわくするような夢の世界を描けていたと思う。最後の殺陣がよかった。女性たちのチャンバラは見ごたえあり。
 毬谷友子さんはあのねずみの母さん=大女優の役がすっかりはまっていた。毬谷さんありきの脚本だった。でも、私としては毬谷さんにはドロッセルマイヤーをやって欲しかった。“目をつぶると見えて、目を開けると消えるものは、なあに?”なんていうせりふを云って欲しかった。いずれにしても毬谷さんは力が抜けていて、いい演技だった。さすがだと思った。
 男装したジャック兄弟は宝塚みたいで素敵。オカマはどう?あの方たちはうっかりするとすぐに脱線するから。それが演出意図ならば、ちょっと余計だと感じた。それも他の人には好評だったかもしれないから、多くは云わない。でもちょうどきょうのこの観劇日にアフタートークがあったのだが、自分たちだけで楽屋ネタを喋っていたのではダメ。ああいうのは司会者がしっかりと観客の意図を汲んで仕切らなきゃいけない。質問する気も失ってしまった。