電話が掛かってきた・・・・・・!!

 「先輩。先輩のお名前が挙がりました。」という電話の向こうの声が、そもそもの始まりだった。
 倅の通っている中学校はそれがしの母校でもある。この時の電話相手のY現PTA会長も卒業生で、それがしの1年後輩なのだ。
 実際に何の話かわからなかった。「えっ? 何? 何のこと?」
 「PTA会長候補です」と後輩のY現会長は云い放った。
 ……………
 まさか、それがしの処にそういう話が来るとは予想だにしていなかった。暫くの間、絶句してしまい、相手が「もしもし」と様子を確かめる声が受話器の向こうから聞こえてきて、はっと我に返った次第。
 「でも、知ってのとおり、勤め人だよ。平日の昼間に学校へは行けないよ」
 「最低、入学式と卒業式だけでいいです」
 ………その二日間だけで済むはずがないことは、実際に会長になってみてすぐにわかった。
 いずれにしても、正式な依頼は選考委員会からあらためて連絡があるそうで、現会長からのこの電話は、根回し的な意味合いらしい。
 考えさせてくれ、といって電話を切った。
 さて、家族は当然として、他に誰と相談するか。
 それがしが思い浮かべたのは、あの人しかいなかった。
 自分が中学生だった時の担任の先生。