シェイクスピア・アラカルト 9

ロミオとジュリエット

 先週は稽古お休み。
 そして本日は、吉田理恵くん、東宝のオーディションのため欠席。
 きょうは、学校が定期試験前なので、部活がない。したがって、体育館も空いている。
12:00から彩乃木と体育館。
最初は観客の座席の確認。どのへんで舞台上がどう観えるか、を確認しながら客席を作っていく。
できたプランは学校側が最初に示したものとは、すこし違っていた。
学校側に了承を得なければならない。

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 今回の舞台では、中央に舞台を昇り降りする階段を設置して、客席部分のその延長上は座席をつくらない。いわゆる花道になる。観客は舞台上手側と下手側に分かれて腰掛けることになる。
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ひととおり、客席プランを固めた後は、いよいよ舞台稽古にかかる。
彩乃木代表は「ロミオとジュリエット」が演出上まだ決まっていない、という。
しかし相方の吉田理恵くんがいない。
仕方ないから、脚本を片手にやつがれが相手を務めるのだ。
ジュリエットだって。はっは(笑)。
しかも下手くそ。セリフの棒読み。あっけに取られる彩乃木。そして爆笑する彩乃木。
「芝居が好きなんだよね」あらためてそう抜かす彩乃木。
才能がないんだから仕方ないでしょ。

舞台は、映画やテレビと違って、板の上に役者しかいない。本物を使わない。セットもない。
役者のからたの動き、セリフの言い回し、間。
そういうものだけで、そこがキャピレット家の2階、ジュリエットの部屋のバルコニーでの出来事を表現しなければならない。

“そうしてあげたい、
けれどかわいがりすぎて死なせるかもしれなくてよ
おやすみ。おやすみ。別れはあまりにも甘く切ない、
朝が来るまでおやすみを言いつづけていたい。”
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バルコニーの場面でいよいよロミオと別れなければならないジュリエット。
たったこれだけの台詞の中にどれだけの動きをしなければならないのか?
むろん芝居芝居した演技ならば、それは下手くそなのであり、自然な動き=とても演技しているようにはみえない演技 をしなくてはいけないのだ。
また、この2回続ける「おやすみ。」は、どう云えばいいのか?

脚本に書いてあるジュリエットのセリフ、たった3行でジュリエットのロミオに対する能動的な気持ちとお嬢さまの抑制を表現しなければならない。
これはたいへんだ。

いや〜、きつかった。
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でも、芝居をつくる、っておもしろい。