シェイクスピア・アラカルト10

【「じゃじゃ馬ならし」の通し稽古】

 さて、いよいよ10月になれば、稽古は日曜のみ。ということでは足らず、土曜日も稽古日となる。彩乃木代表の計画に拠れば、10月の稽古日は6回。11月は13回。
 吉田理恵くんは、ミュージカルが終わったばかりで、この芝居の台詞がまるで入らずに9月を終えた。先週の稽古終了後に、彩乃木が吉田くんに来週にはマクベスヴェニスの商人じゃじゃ馬ならしロミオとジュリエット・ペリクリーズの5つのうち何かひとつ台詞を入れてこい。と厳命。吉田くんは「では、じゃじゃ馬ならし、で」と宣言した。
 今後1週間でひとつの芝居の台詞を入れる。最初は「じゃじゃ馬ならし」ってわけ。
 いい選択だと思う。独白(ひとりで喋る)・傍白(相手に聞こえないことを前提に観客に向かって喋る)が多いシェイクスピアにしては、珍しく男女の息もつかない掛け合いの台詞の応酬が多い。相手が云ったことを受けて自分の台詞がある。だから相手の台詞が合図になって自分の台詞を云えばいい。。。。。。。と考えたやつがれは、大きな誤解であった。というのも、結局、台詞を覚えるのは一人きり。相手が100%台詞覚えの相手をしてくれるわけではない。どんなに登場人物が多くても、所詮一人ぼっちで台詞を覚えなくてはいけない。だから独白だろうが、掛け合いだろうが、大勢の渡り台詞であろうが、覚える作業はひとりでやらねばならないし、その苦労は同じなのだ。
 さて、そして本日はその成果が試される稽古日となる。
 やつがれは、吉田くんが覚えられていないだろう、と思ってました。
 ところがどっこい。覚えてきたんですね、これが。
 むろん、時折、飛んでしまうこともあるし、細かい部分で云い間違いがあったりするけど、基本的にはほとんど完璧に覚えてきた、と云ってもいいと思う。
 すごい。さすがだ。