シェイクスピア・アラカルト11

 照明リハーサル

 体育館で昼の12:00から学校の先生の同席のもと、照明のリハーサルをする。
 舞台上やその周辺にキャンドルも設置して、天井の明かりを消して、サスペンションライトやスポットライトを当てて確認する。

 なんでも段取り。照明もこの時にこうする、舞台でこの動きが始まったらこれをする、という所を丁寧にチェックしていく。当日はたぶん、やつがれの仕事になるだろう。役者たちの次に舞台を知っているのだから。
 そして最も大切なことは、当日本番で失敗は許されない、ということだ。
 今回はじめて自分のこととして認識したが、照明などのスタッフが失敗する、ということを観客はまず意識しない。スタッフは神のごとく絶対に失敗しない、と思っている。というよりも照明や音響は、神の行為なので、そもそもはじめからそこに存在しているのだ。舞台上の演技同様、人間の手で行われている、とは、はなから意識の中にはないのだ。
 失敗は許されない、と彩乃木に云われた時、リハーサルにもかかわらず、手が震えた。

 照明と音響は、どんな風に使用するのか? …… それは観てのお楽しみ、ってことで(^^=)

 約3時間掛けて照明を考え、音響を確認した。

 この日は、体育館においては、部活はなかったので、そのまま夕方まで舞台を使用できた。
 「マクベス」「ヴェニスの商人」「じゃじゃ馬ならし」「ロミオとジュリエット」「ペリクリーズ」。
 舞台上で通し稽古をする。しかしながら吉田理恵くんは台詞が入っているのが「じゃじゃ馬ならし」だけなので、お互いの動きを確認できる稽古はこの「じゃじゃ馬ならし」だけしかない。他の演目は、今の処、吉田くんは脚本を読み、彩乃木がひとりで動きを入れている。
 台詞を読むのだって、なかなか難しいのだ。イントネーションやアクセントはむろん、どんな感じで云うのか、でその台詞が生きるか死ぬかが決まるわけだ。ひとつの台詞で云い方が、100万とおりくらいある。というのは大袈裟なことではない、ということが稽古を観ているとよくわかるのだ。 その台詞をどんな風に云うか、によって相手の次の台詞の云い方も決まってくる。

 「じゃじゃ馬ならし」のリハーサルは順調に進んでいるのだ。
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